つま先立ちの恋
ヤバイってこれ!
私、ちょっとヤバくないか?何がヤバイとかじゃなくて、こう、全体的にヤバイ気がする。私、頭ん中ヤバイことになってる。顔に出てたらもっとヤバイ。

振り返って鏡に顔を映す。


「……げっ!」

あれだけ大泣きしたせいで、メイクが崩れていた。

マスカラはどうやらウワサのウォータープルーフだったのか大丈夫だったけど、アイラインとかアイシャドーとかが大変なことになっていて、なんてカラフルなパンダになってるんだ、私。これはこれで可愛いけど、今はそんな可愛さいらん!


どどどどどうしよう!!
いかんせん、メイクなんて普段からしたことないからどうしたらいいのかわからない。

「と、とりあえず…」

その場にあったティッシュを大量に手に取り、ゴシゴシ拭く。

「げっ!なんか擦りすぎて真っ赤になっちゃった~」

強く擦りすぎて今度は目元が赤くなってしまった。自分の怪力がうらめしい。これは擦ってもどうしようもできない。てか、逆効果じゃん。


特別な夜に何やってんだ、私は!!


泣きたい…でも、泣いたらもっとヒドイ顔になりそうな気がする。こらえるんだ、私!とか思ってるのになんで涙が出てきちゃうんだよ~。

何なの、これ。これがウワサの乙女心とか言うヤツなわけ?いらんいらん。そんな役に立たん物はいらん!だから、涙止まれ!

…、て言っても止まらないよね~。そうだよね~。

もうやだ、誰か助けて!
でも、フーは絶対助けにきちゃダメ!

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