つま先立ちの恋

泣いて叫んで、ドンドン音を立てた。だけど、誰も気付いてくれない。

瞼も痛くて声も嗄れて、だんだん泣くのにも疲れてきちゃった時、ようやく蓋が開いた。

蓋が開いても真っ暗なのは変わらなくて、それでもほんのりと光りの粒が小さなカケラみたいにひらひらと舞っていたのを覚えてる。それから、そこにいた人のことも。

細い三日月みたいな目が私を見ていた。

あの時、…――