つま先立ちの恋
「うわっ、全部持ってかれたの?」

「すげぇだろ、校章までくださいって言われたんだぜ」

そう言って和泉は自信満々の顔して笑った。

そして、詰襟についているはずのうちの校章がないこと見せつけるように顔を近付けて来る。その分、私の上半身はイナバウアー状態。

「てか、だらしないなぁ~。ヤンキーみたいだよ」

「んじゃ、脱ぐわ。ちょお持ってて」

ポン、と私にスポーツバックを預けて学ランを脱ぐ和泉。下には白いシャツを着ていた。けど、ボタンいくつ開けてんのって感じ。

それにしても…和泉って日に焼けてるんだな。

私がジロジロと和泉を見ていると、その視線をどう勘違いしたのか、

「あ、何? 学ラン欲しい?」

「いるかっ! てか、重いから早く!」

和泉、スポーツバックに鉄アレイでも入れてんじゃないの?

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