つま先立ちの恋
シロ先生は顎に指を充て、真剣な面持ちで考え込む格好になった。「う~ん」、なんて唸り声あげながら。

「ちなみに私は婚約だと思うんですけどね」

と、葵ちゃんが言う言葉も聞こえてない様子だな、こりゃ。斜め上を見てる。

それから、いつもよりも少し高めの声でシロ先生は、

「ひとつしか思い浮かばんなぁ」

「え、何ですか?」

私も葵ちゃんもパペちゃんも思わず身を乗り出した。

シロ先生は顎に充てていた人差し指で空を指差しながら、一言。


「恋愛やろ。」


その一言、マジで胸にズシンときたんですけど。


・・・息もできないくらい。


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