ラスト・ラブ
―夏休み―
もう半分過ぎたなー…もったいない夏休み…。予定もない私は部屋でゴロゴロするのが日課になっていた。

『千奈ー、ケータイ鳴ってるよー!!』

あれっ?ケータイ……げーっ、1階に忘れてた。面倒臭さー。渋々、階段を降りてケータイを取った私は目が点になった。

着信 美幸

えっ?何?何で私?今まで電話きた事ないのに…
珍しい事もあるもんだ…と電話にでた。

『もしもし?千奈チャン?今ヒマ?ヒマしてるなら今から遊ばない?』

美幸が私を誘うなんて…
何かあったのかな?そう思った私は二つ返事で遊ぶ約束をした。

2時間後、ゲームセンターで合流した私達。最初は、ぎこちなかったけど、お互い、いつの間にか楽しんでいた。
私は、ちょっと店の外に出ていた間、美幸と、はぐれてしまった。辺を見回したら美幸が見えて声を掛けようとした瞬間、私は自分の目を疑った。
美幸が男に、お金を渡していた。
片手にタバコ、茶髪にピアス…
どう見たってヤンキー…

恐る恐る美幸に近づいた私に男は『こんちわー、美幸の友達?じゃ』とだけ言って、いなくなった。

『あれ誰?何で、お金渡したの?大丈夫?』と私が聞くと美幸は平然とした顔で『あー、あれ?元カレ。夏休み入って、すぐ別れたけどね。いつも金貸してって、うるさいんだって。今月もいくら貸したか分からないし…マジだるいんだってね…』

正直、美幸の態度を見て、“マジだるいんだってね”
って本音で言ってるとは思えなかった。むしろ甘やかしてるんじゃ…と感じるほどだった。
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