姉弟道
「リコちゃんが好きなんでしょ?

幼なじみのリコちゃんが好きなんでしょ?」

そう言った樫野に俺は目を反らした。

俺が目をそらしたと言うのに、
「お願いだから、私を見てよ!

私のことを好きになってよ!」

樫野は続けて言い返している。

しつこいんだよ!

言いようにないくらい腹が立って、俺は樫野の顔を見た。

その時、俺は唇をふさがれた。

俺の唇をふさいだのは、樫野の唇だった。

――好きでもない女から唇を奪われた。

その瞬間、周りの騒音が消えて、頭の中が真っ白になった。

*゚。梓Side。゚*END
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