姉弟道
*゚。梨湖Side。゚*

――ウソでしょ…?

目の前で何が起こっているのか、よくわからなかった。

持っていた買い物袋があたしの手から離れた。

買い物袋から先ほどスーパーで買ったものが足元に散らばった。

あたしの目の前では、あーちゃんとすみれさんがキスをしている。

「――何で…?」

あたしには、信じられない光景だった。

信じられなくて、訳がわからなかった。

わからなくて、あたしの目から涙がこぼれ落ちた。

これ以上見ているのがつらくて、あたしはその場から逃げ出した。

一瞬だけ、あーちゃんの声が聞こえたような気がした。

「どうしたんですか!?」

泣いて家に帰ってきたあたしを、杉里さんが迎えてくれた。
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