姉弟道
今度はアズにぃ作の桜餅の方へと視線を向けた。

「…何これ?」

俺は皿にある物体Xを指差した。

「桜餅…」

アズにぃは呟くように物体Xを答えたが、
「俺には、赤福に見える…」

俺はそう言い返すことしかできなかった。

アズにぃ作の桜餅は一言で言うと、“赤福に桜の葉っぱを巻いただけ”である。

手にやけどを負ってまで作った本人に言ってはいけないが、そんな風にしか見えない。

俺はアズにぃと杉里さんが作った桜餅を別々の小皿に乗せると、リコ姉ちゃんの方へと持って行った。

リコ姉ちゃんの前に立つと、俺は2つの小皿を彼女に差し出した。

この勝負の勝ち負けを決める重要な立場のリコ姉ちゃんが杉里さんの桜餅を手に取った。
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