姉弟道
「僕の作った桜餅を食べた時、リコさんはたった一言だけ“美味しい”とそう言っただけでしょう?

でも桜狩さんの作った桜餅を食べた時、リコさんは桜狩さんにあんなにも言ってるじゃないですか」

そう言った杉里さんに、俺は呆れて何も言えなかった。

あんなに言ってるって言うよりも、ただ単にケンカしているだけなんですけど。

と言うか、2人のこの状況に気づかないって…。

失礼ながら、俺は彼の頭の中を疑ってしまった。

2人がケンカしてるのがわかんないのかよ…。

「だから、この勝負は桜狩さんの勝ちです。

僕がリコさんをあきらめます」

杉里さんは頭を下げると、その場を離れようとした。
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