姉弟道
石楠花さんが出て行っても、俺は固まっていた。

「石楠花さんって、結構いい人そうじゃない?」

横からリコ姉ちゃんの声が降ってきた。

「えっ?

あー、そうだね」

俺はコクコクと首を縦に振って返事をした。

リコ姉ちゃんは続けて、
「結婚してるのかしら?

指輪はなかったからよくわからないけれど」
と、言った。

「さあ、それは知らん」

そう言うと、俺は話を終わらせるために中に入ろうとした。

「と言うかさ、モモちゃんって何で女の人に素っ気ないの?」

リコ姉ちゃんの声が俺を呼び止めた。

何だよ、それ。
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