姉弟道
*゚。梓Side。゚*

6月最初の土曜日の夜だった。

「んなこと言ったのかよ、リコのヤツ」

桃坊の話を聞いた俺は言った。

「そう言ったよ」

桃坊は呆れたと言うように横を向いた。

「そう怒るな、リコだって心配してるんだよ」

そう言った俺に、
「そう思えないのは俺だけでしょうか?」

投げやり気味に返した彼の様子に、俺は困ってしまった。

「アズにぃもなかったじゃん」

そう言った桃坊に、
「何が?」

俺は聞き返した。

「色恋沙汰」

そう言った桃坊に、俺はどこでその言葉を聞いたんだよと心の中でツッコミを入れた。
< 136 / 221 >

この作品をシェア

pagetop