姉弟道
「仕方ねーだろ」
と、俺は言い返した。

俺は俺で、リコしか見えなかったんだから。

「リコ姉ちゃん、アズにぃが新宿2丁目の人かと思ったって」

そう言った桃坊に俺はずっこけた。

リコのヤツ、そんなことを思ってたのかよ…。

まあ、今までが今までだったから仕方がない。

「言っとくけど、俺はそんな趣味ねーから」

そう言い返した俺に、
「わかってるって」

桃坊は返事をした。

ホントかよと思いながら、俺は彼に気づかれないように息を吐いた。

時々だけど、こいつの言うことが恐ろしいと思う時がある。

見た目は絶世のイケメンなのに、口はかなりの毒舌家である。

こいつの前世は毒蛇かなんかだったんじゃねーかと、俺は密かに思っている。
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