姉弟道
「おい」

俺はカズを呼んだ。

「お前、誰に向かって“モモちゃん”って言っているんだ?」

そう言った俺に、
「すっ、すみません、トーゴ様…」

カズが呟くように謝った。

全く、俺のことを“モモちゃん”と呼んでいいのはリコ姉ちゃんだけである。

リコ姉ちゃんは身内だし、昔からそう呼ばれているからすっかりなれてしまった。

他の人に“モモちゃん”と呼ばれると、カチンとくるのである。

キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴ったのと同時に、女子たちは次々と解散して行った。

アホか。

そうツッコミを入れたのと同時に、教室に先生がやってきた。
< 146 / 221 >

この作品をシェア

pagetop