姉弟道
その日の帰り道。

「へえ、石楠花さんって学校の先生だったんだ」

リコ姉ちゃんが言った。

「“だったんだ”じゃなくて、“だった”の!」

そう言い返した俺に、
「どう違うの?」

リコ姉ちゃんは呆れたと言うように返事をした。

ダメだ、こりゃ。

と言うか、日本人なのに日本語がわからない人初めて見た。

「あっ、でもモモちゃんの先生だったらあたしの先生でもあるか」

思いついたと言うように言ったリコ姉ちゃんに、
「何で?」

俺は聞き返した。

「ここの学校の先生だった訳なんでしょ?」

ああ、そう言うことね。

そう言ったリコ姉ちゃんに、俺は理解した。

確かに、石楠花さんはリコ姉ちゃんの先生でもある。
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