姉弟道
石楠花先生だった。

「何にもないっすよ」

俺は返事をした。

「あら、インコなの?」

石楠花先生がQ太郎の存在に気づいた。

「ヨウコソノオハコビデ」

昭和のバラエティー番組の司会者みたいな口調でQ太郎が言った。

それも誰に教わったんだよ。

「あら、しゃべるの?」

初めて見たと言うような感じで石楠花先生が言った。

「しゃべりますよ」

珍しいものでも見るように、石楠先生はQ太郎を見つめた。

「オイオイ、テレルジャナイカ」

…マジで誰に教わったんだよ?

俺個人の疑問としてはそっちが知りたいんだけど。

「おもしろいインコね」

ニコッと、石楠先生が俺に笑いかけてきた。

…ヤバい。

ますます彼女にひかれて行く自分に、心臓がドキッと鳴った。

ああ、やっぱり俺はこの人のことが好きなんだな。
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