姉弟道
「梓くんのことをあきらめないから!」

樫野が叫ぶように俺に言った。

一瞬、周りの騒音が聞こえなくなった。

「私、梓くんのことがずっと好きだったの」

樫野が続けて言った。

ちょっ、ちょっと待てくれよ…。

俺、告られたのか?

「高校の頃から、梓くんのことがずっと好きだったの」

告白をしている樫野に、
「は、はあ…」

俺はどう答えていいのかわからなかった。

「梓くんに好きな人がいるって言うことがわかっても、私はずっと思ってた」

俺の顔に穴が空くんじゃないかって言うくらいに、樫野は俺を見つめていた。
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