姉弟道
杉里さんは俺にお盆を差し出すと、
「桜狩さん、きているのですか?」
と、聞いてきた。

「えっ…まあ、はい」

俺は呟くように答えながら、彼の手からお盆を受け取った。

そっか、杉里さんもリコ姉ちゃんに恋をしている1人なんだよな。

杉里さんからして見たら、アズにぃはライバルだもんな。

「毎日きますね」

杉里さんが呆れたと言うように言った。

「まあ、はい…」

そう返事をした俺だけど、他に何も思い浮かばなかった。

「すみませーん」

店先の方から声が聞こえた。
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