TOKYO TROUBLE HOLIC
女は俺に気付かず、絵を見ながら横に進んできた。
俺が避けようとしたときは、すでに時遅し。
俺はグラッとしただけだが、女は床に尻餅をついた。
周りにはスケッチブックと、ミニバックから出た道具が散乱。
「あっ、す、すいません。」
女は慌てて道具を拾い、ミニバックに入れた。
俺もスケッチブックを拾い、渡した。
名前のところに、間宮 彩貴。
女の名前のようだ。
彩貴は立ち上がり、お礼をいった。
「すいません。ありがとうございます。」
別に大丈夫と言って、彩貴の顔を見た。
セミロングで肌が白く、鼻筋がしっかりしていた。
透明な薄い赤のフレームの眼鏡。
よく似合っていた。
かわいい系より、美人系の女だった。

彩貴は隣の絵に移動し、やはり真剣な眼差しで見ていた。
俺はつい話し掛けた。
集中して、真剣に見てる彩貴にとって、迷惑だったかも。
「彩貴はさぁ。美術関係の大学生?」
驚いた顔をして、彩貴は言った。
「えっ、あっ、はい。美大です。あの、なんで名前を?」
やっぱり、大学生か。
しかも、美術関係の。
俺の推理は正しかった、と自己満足に浸った。
「さっき拾ったスケッチブックに、書いてあったから。」
「あー、だからですか。占い師かと思った。貴方の名前は、○○ですね?みたいな感じの。」
面白い奴。
真面目そうに見えて、明るく、のりがよさそう。
きっと、お笑いが好きだな。
推理、その二。


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