TOKYO TROUBLE HOLIC
一時間後、美術館を出て、近くのカフェに行った。
四人テーブルに座り、彩貴は隣にスケッチブックと、ミニバックを置いた。
俺は店員にコーヒーを二つ頼んだ。
椅子に置いてあるスケッチブックが気になり、ちょっと見せてもらった。
中には、風景画がぎっしり。
美しく、綺麗な湖。
雄大で、自然豊かな山。
どれもこれもがうまく描けていた。
「すごいな。絵、うまいんだね。」
顔を赤くし、彩貴は照れ笑いをした。
「いや、私なんか、そんな。全然ダメですよ。」
頼んだコーヒーを飲み、俺はスケッチブックを返した。
よく見ると、彩貴って、黒木メイサに似てると思った。

カフェを出て、彩貴とは別れた。
携帯番号と、メールアドレスを交換して。
別に恋したわけじゃないよ。
ただ、出会いってものは、この社会では大切にしたい。
俺はあくまでも、綾に惚れてる。
一途な男だよ。


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