TOKYO TROUBLE HOLIC
変な間と静けさが。
綾はただ、下を俯いていた。
俺は綾の方を向き、なんとか笑いを作った。
「はは、俺たち、別に付き合ってないじゃんな。」
何も言わず、綾は立ち上がった。
顔から笑顔が消えていた。
さすがに、やばいと感じた。
「えっ、どうした?怒ってんの?」
ツンとした、氷のような声で言った。
「別に。」
そのまま、こちらを振り返らず、綾は立ち去ろうとした。
俺は立ち上がり、綾の手をつかんだ。
「ちょっと、待てよ。なんで、怒ってんだよ。」
手を払い、怒った顔で綾は振り返った。
「京介が家を断った理由、よくわかったよ。美人の彼女さんがいるなら、私なんか誘ったりしないでよ。」
さっきのは彼女じゃない。
俺が好きなのは、綾なんだよ。
そう言おうとしたときには、綾は遠くにいた。
俺は何もできず、綾の背中を見てただけだった。
本当、泣きたいよ。
俺は芝に座り込んだ。
はぁ……………


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