TOKYO TROUBLE HOLIC
休憩中、ミネラルウォーターを二つ持ち、一つをアヤに渡した。
「お疲れさん。」
無理に笑顔をつくろうとしていた。
「あ、ありがとう。」
俺は横に座り、シャッターが閉まった店を見ながら言った。
「話はなくなった。キャバ嬢も、風俗嬢も。」
驚いた顔で、こちらを見る。
「えっ?なんで?」
俺は携帯を取り出し、キャバクラに電話した。
「名前の一覧を見たんですけど、アヤさんって、辞めたんですか?」
残念そうな口調で、店員から返事が返ってくる。
「はい、すいませんが、辞めてしまいました。」
わかりましたと言って、電話を切った。
俺は笑いながら、もう大丈夫だよと優しく言った。
アヤは涙を零し、笑顔を見せてくれた。
この笑顔を見れただけで、俺は嬉しかった。


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