~天使はふたたび舞い降りる~
親父の研究の熱弁を
少し聞いてやって

くだらない世間話や
仕事の話


特に老舗デパートに勤める
素良の話には
夢中になった。

そんな俺たちを」
親父が嬉しそうに見ていた。


歩来が台所に行ったのを
奈楠が

「手伝います」
と追っていく。

いわくつきの親子だったが
いろんな壁を乗り越えて
美味しい料理と
旨い酒で
宴は盛り上がった。

酒に弱くなった親父がうたた寝を
はじめた。


素良は布団をかけながら

「こうやって三人で飲める日が
くるなんてあの頃思いもしなかったな。」


と言った。


俺はしみじみうなづいた。



その時
奈楠の声がした。


「素良さん、歩来さん
具合い悪いみたい」



素良が台所に走っていった。
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