～天使はふたたび舞い降りる～

「退院したら
見せに行くよ・・・・
その時彼に会わせて。
四季のこと
お願いしなきゃな～」


俺の後ろにさっき面会ルームにいた
若い女の子が立っていた。


俺は慌てて会釈した。
女の子も頭をさげた。


「四季・・・・
たくさん愛してもらうんだぞ。
悔いのないように
愛して愛されるんだ。
自分に素直になれるのが
どんなに幸せなのか・・・
抱きしめたいものを
迷いなく抱ける喜び・・・・
それがどんなに大事なことか
幸せにな～」

「優・・・・
あなたにだって幸せになって
もらいたいの・・・・
一人でいるの？
寂しくない？
私は、今まで一人だって平気だった。
一人で生きるために
マンションも買ったし
だけど
抱きしめてくれる人ができて
私は一人が辛くなった。
一人でいる事が
不安でしかたないの・・・・
優・・・・
悲しくてしかたない。
あなたの人生が・・・・・
狂ってしまって
あなただけは誰よりも輝いて
教壇に立ってるって
信じていた・・・・・・」


「それが俺の運命だったんだ。
罪の償い・・・・
死んだら、会ってくれるかな。
理恵子と子供・・・・
謝りにいかないとな・・・」


「後悔してる？」


「してないよ。
俺も地獄だったから
後悔もたくさんしたけど
最近はさ、穏やかなんだ。
後悔って・・・
消えるんだよ。
死の前は穏やかになれるんだって・・・
でも間違ってはいけない。
相手を不幸にしては・・・
抱きしめたくても
抱いちゃダメさ・・・・
悲しい想いはもうさせたくないから・・・」