~天使はふたたび舞い降りる~
中村に連絡をしてみた。

 お元気ですか?
 体はどうですか?
 亜恋さんにおねがいがあるんです。
 連絡をとってもらえないですか?
 奈楠が会いたがってると・・・
 状態があまりよくなくて
 俺だけでは・・・
 なんとか・・・
 お伝えしてもらえたら・・・
 助かります。



それからしばらくして
亜恋がやってきた。



俺は一緒に来た中村と
中庭で待つことにした。



「助かりました・・・
手に負えなくて・・・
どうしようかと思ってたんです。」


「すみません。
俺達もいろいろあって
こっちに足が遠のいてました。
亜恋も気にしていたから
大丈夫です。
きっと亜恋なら・・・・
俺も亜恋に手をひかれてるから~」


そう言って
笑った。


「不安なんです・・・・
いつ愛する人と別れがくるのか・・・
希望を持たないとと
わかってても
絶望感が襲ってきて
心にもないことを言ってしまう・・・
病人はわがままです・・・」



「理解してるつもりなんです。」



「いや・・・
こればっかりは・・・
この死の恐怖は
宣言された人間にしかわからない。」



「だから抱いてやってください。
愛する人が
一番の薬です。
人生に悔いはないって
思えたら、きっと
死と向き合いながら
愛する人のために
一日でも長く生きようって
歩き出せます。
言葉をいっぱいかけてください・・・
愛してるって・・・」


中村の言葉が
心に響いて
俺は不覚にも涙を流した。
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