~天使はふたたび舞い降りる~
奈楠がシクシク泣いた。


「奈楠ちゃん・・・
だからこうして
本当に愛してる人の子供を
お腹に宿すために
がんばって・・・・
体の準備を整えよう?
芳樹も・・・あなたも
家庭に恵まれなかったなら
二人で暖かい家庭を
築きあげなくちゃ・・・・」


「うん・・・
ありがとう・・・
歩来さんと話せてよかった。」


「芳樹を信じてあげて。」



「ね…歩来さんにお願いがあるの。
もしね、もし・・・
私が力尽きて
芳樹がひとりになったら・・・」


俺は背筋を張った。


「何を言うの?」


「うん・・・でも聞いて・・・
芳樹をあの人に返してあげて。
芳樹の背中を押してほしい・・・」


「え?」


「田澤 四季 って私の担任だったの。」


「どうして?そんなこと?」


「前ね、芳樹が約束をやぶって
帰ってこなかった夜
携帯が鳴ったの。
芳樹はお風呂だったから
私持っていこうと思って
そしたら担任の名前だった・・・」


「担任・・・・?」


「さすが芳樹は
昔からもてるんだ~
なんて感心したらダメね。
つらかった?
知ってる人だから・・・」


「うん・・・
すごく・・・・
心が痛かった・・・・
知ってる人だったから
帰ってこない夜
二人が愛し合ってる姿ばかり
浮かんできて
結局寝られなかったから・・・」
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