~天使はふたたび舞い降りる~
「ありがと。
奈楠も治療きつくなってきたから
助かったよ。
気もまぎれるし・・・・」



「歩来が俺がくる間
必死に手を握って
励ましてくれたって・・・・
奈楠ちゃんにいいとこ見せるんだって
思っていたから
立派なお産ができたって。
助産婦さんからも
100点もらっていたから。」




「そっか~
歩来は強いからな~
鉄の女だし。」


素良が爆笑した。



「それがいまへこんでる。
母乳の出が悪いって
ははは・・・・」



「へこむことあるんだ~」



二人で顔を見合わせた。



「それから、字画には全くこだわらない
自由に素敵な名前をつけて
って言ってた。
あの本は参考までだから・・・
食い入るように
見てたからさ」



「了解、歩来によろしくな~」


病室から
おおきなから吐きが聞こえた。



「じゃ、素良、またな。」



俺は病室に戻って
苦しそうに吐き気と闘う
奈楠の背中を撫ぜた。



「俺がついてるからな。
おまえはひとりじゃないんだ。
親になるんだぞ。」

「親?」
苦しげに俺を見上げた。

「名づけ親さ~」

吐きながら、奈楠は笑った。
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