~天使はふたたび舞い降りる~
「いって・・・いってらっしゃい。」


奈楠が手を振った。



「いってきま~す。」
一度出かかって
何か忘れてる気がして
玄関に戻ると


奈楠が目を丸くした。



「いってきますのキスして。」


俺は唇を突き出した。



奈楠の柔らかい唇の
感触がポテッと
広がった。



「ちゃんと薬飲めよ。」


「はい、飲みます。」



「鍵かけろよ、出るなよ。」



「はい、だいじょうぶ・・・で・・」


「んじゃ!!」



ドアを閉めた瞬間
何か聞こえた気がしたが
急いでいたので
エレベータに飛び乗った。



膝まですっぽりと埋まるくらいの
大雪にウンザリしたけれど


奈楠が雪が好きと言ったのを
思い出して
踏みつけながら

 失礼しま~す。


とつぶやいた。
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