~天使はふたたび舞い降りる~
分身を宿してから
体調が悪くなってきた。

治療する金も
保険証もない

私の持病はきっと
悪くなっている。

でも
こんな人生どうなろうが
解放されるなら


もっともっと
悪化してほしいと思った。


この分身を産む前には
命が終わってほしいと…


冬が近づいてきたころ


「明日、戻るぞ。」
林が言った。

「どこに?」



「札幌さ~
そろそろここも危ないし
金も思ったように出てこない
あっちいけば、
じいさんもお前の兄さんもいるからよ。
兄さんなら
おまえのためなら
何ぼでも出すだろうし。」


「悪魔!!!」

私は毛布を叩きつけた。


「イテ・・・
なにすんだ!!てめー!!!」


林に思いっきり張り飛ばされた。
そしておさえていた
暴力が止まらないのか
私の腹以外を狙い
痛めつける。
気がすめばまた私を抱いた。


今度は壊れ者を扱うかのような
ゆっくりとした
行為に反吐が出た。


「大事にしなきゃな~
おまえは俺の子供がいるんだから~
にいさん、さぞ驚くだろーな~」



悔しくて涙が出た。


札幌には絶対行きたくない・・・
芳樹にだけは
絶対会いたくない・・・・


悪魔のうめき声が地を這い
そして果てた・・・・
< 396 / 426 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop