～天使はふたたび舞い降りる～

せつなくて
窓の外を見ていた。


大粒の雪が舞っている。


「雪積もるな。」


「雪を見るの久し振りだった。
真白な汚れない色…
向こうにいても
季節がわからなかった。
冬が厳しいから
春の芽吹きがうれしい…
夏が短いから楽しめて
秋がくると物哀しくなる…
ここは、そういうところ…
雪は私を真っ白に漂白してくれるかな」



奈楠がベットから
ふらふらと起き上がった。


俺は慌てて
奈楠の腰に手をまわした。



お腹が膨らんでいるのが
わかった。


奈楠は窓を見ながら

「赤ちゃん……
雪だよ……一緒に見てる人は
ママの世界で一番大事な人…
だから雪が綺麗に見えるでしょ？」


そう言って
お腹を優しく撫ぜた。


「あのね、ずっとこの子を
憎いと思ってきた。
悪魔の分身が宿って具合も悪くて
全部この子のせいだと
思ってた……
このお腹が今の私の現実……」


目をそむけてはいけないと
思った。


「一緒に暮らそう。
この子も一緒だよ。
奈楠の子供だから、俺は
愛せるよ……
努力する・・・・」



奈楠は俺を見て
悲しく笑う。


「そんな顔で笑うなよ。」