~天使はふたたび舞い降りる~
「ここに来る途中で
男の子に会ったの。
可愛かった~もうすぐ二歳って。
利口で賢い子って
すぐわかったよ。」


奈楠は俺の肩に頭を預けた。


「その子は、パパがかえってくるの
ママといい子で待ってるんだって。」


「そっか~
えらい子だな。」


「うん。その子、ママが帰ってきたら
すご~く嬉しそうだった。
ママは学校の先生みたいでね
おじいちゃんとおばあちゃんと
暮してるの。
私のお腹に話しかけてくれた。
その子が私とお腹の子を
線でしっかり結んでくれたの。
私を見る目がね
すご~くきれいだった……
あの子と会ったのは運命……
絶対に……」



「よっぽどの出会いだったんだな。」


俺は奈楠の髪を撫ぜる。



「芳樹にも会いたくなかったけど
やっぱりウレシイ。
会いたかった。」


俺は奈楠を抱き締めた。


折れそうで
壊れそうな体を……


「俺も会いたかった……
抱き締めたかった……」


その日は面会時間終了まで
語り合った。
奈楠は自分の話はしたがらなかったから
俺は仕事を降格されて
生鮮に平で行っての
修行話やいじめられた話を
面白おかしく
話した。


奈楠は目を丸くして
聞き入っては
三日月のような目で
ケラケラとよく笑った。



 よかった
 こんなに早く打ち解けられて

俺は誤解していた。


もう奈楠は大丈夫だと………
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