~天使はふたたび舞い降りる~
俺は仕切られた小上がりを
見渡した。


いつの間にか
客は俺だけになっていた。



いくつかの絵がはってあった。



何を書いてるのか
わからないけれど


「これでも意味があるのよ。」



「これは、食事を作ってる
私たちの絵で
これが、ラーメン食べてる
お客さんの顔」


そして一枚の絵を指さした。



「これはたっちゃんと
ママと
会ったことのない
パパの顔なの。
自分と同じ顔だけどね。」



「おとうさんがいないんですか。
僕も母子家庭でした。
小さい頃は父親に会ってみたいって
ずっと思ってました…」



「娘がさ
すごく愛してる人の子供だから
産みたいってね……
根負けしたけど
タツキに会えてよかったって
今は心からそう思うよ
わしらの天使ですよ~。」



「そうですか
タツキくんは
みんなに愛されて幸せですね。
だから、奈楠も癒されたんですね。」



「たっちゃんとママに教えなきゃ~
きっと喜びますよ。」



俺はお金を払い

「ごちそうさまでした。」

そう言って店を出た。
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