~天使はふたたび舞い降りる~
「寒い、寒い」
震えている。
毛布も何枚もかけたけど
奈楠の悪寒は止まらない。


「寒いよ~にーにー」
ベットの中で
体をまるくして振るえている。


こういうときは人肌が温かい
よく凍える人を抱きしめる
テレビや漫画を見た。

「奈楠がいやじゃなかったら
俺暖めてあげようか?
布団の中に入っていいか?」


「うん、うん
早く・・・・」
歯がカチカチ言っている。


俺は布団の中に入って
背中から奈楠に抱きついた。


「にーにー・・・」

「ん?」

「昔こうしてくれた?
私が赤ちゃんの時・・・・」


「うん。俺は毎日おまえの寝顔見てた。」

「可愛かった?」

「うん。スゲー可愛かったよ。」


奈楠の悪寒はなかなか治まらなかった。

「肌をつけるとあったかいんだ。
むかしかあさんが
寒い夜俺の足にからませて
あっためてくれた。
ポカポカするんだ。
不思議と~
だから、俺は寒くなくても
寒いって
かあさんの体であっためて
もらったな~」


「いいねー私は
アイツが他の女とあったまってる横で
毎晩震えながら
寝ていた。
何も見たくも
聞きたくもない
あいつらの隣で
嫌悪感に震えていた・・・・」



奈楠の心の傷だった。
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