東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
「いいよ。ちゃんと先生に注意してもらったし、あんだけ言っとけば、彼も目が覚めると思うし」
「………」
「でも意外だったなァ♪ 卒業して会えなくなるのがイヤで、彼も関東外語大を志望してたなんてさ♪ 彼、カワイイとこ、あるじゃん♪ 大学行って一人暮らしをはじめたら淋しくなるかもしれないし、あたし、ペット代わりに彼、飼っちゃおっかなァ~っ♪♪」
今までなにが起きようが、古い日本のお人形のように無表情だった彼女のこんな嬉しそうな顔は見たことがない。
「…!?」
Unbelievable!?(アンビリーバボー!?)なにさまのつもりっ!?
その嬉しそうな顔を、ホントは思いっきり引っぱたいてやりたかった。
だけど、あたしが動けば動くほど、ますますロムを苦しめるんじゃないかと思って、そこはなんとか踏みとどまった。
「ペットはともかく……大学に行って付き合ってくれるんなら、ロムも喜ぶと思うよ」
「そうね、シッポ振って喜ぶかもね♪」
「………」
可愛いロムをここまでコケにされては、もう黙ってなんかいられなかった。