東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
だけどクチを開けば、なにを言い出すか自分でも分からなくて……、
だから、あたしは唇を噛み締めて、太ももの横でグーにした両手をぷるぷると小刻みに震わせた。
「さ・て・と…。もうハナシは終わった、と思っていいのかな?」
上から目線で彼女が言う。
「ご、ごめんね、貴重な勉強の時間を割いてもらって」
「そうね」
すでに彼女の目は問題集のほうに向けられていて、あたしの存在なんて眼中にない。
「…!」
…って、こーいう場合はウソでも「そんなことないよ」とか言うもんでしょっ。
1秒でも早く、この場からいなくなってしまいたかったあたしは…、
「お邪魔しマシタ」
…と言って、クルリと彼女に背中を向けた。制服のスカートがパラシュートのようにフワリと開く。
「あ、言い忘れたけど、そのページの答え、間違ってるよ。ヨーコさん、(a)に丸つけてるけど、正解は(c)だから。いちお教えとく」
だから、あたしは唇を噛み締めて、太ももの横でグーにした両手をぷるぷると小刻みに震わせた。
「さ・て・と…。もうハナシは終わった、と思っていいのかな?」
上から目線で彼女が言う。
「ご、ごめんね、貴重な勉強の時間を割いてもらって」
「そうね」
すでに彼女の目は問題集のほうに向けられていて、あたしの存在なんて眼中にない。
「…!」
…って、こーいう場合はウソでも「そんなことないよ」とか言うもんでしょっ。
1秒でも早く、この場からいなくなってしまいたかったあたしは…、
「お邪魔しマシタ」
…と言って、クルリと彼女に背中を向けた。制服のスカートがパラシュートのようにフワリと開く。
「あ、言い忘れたけど、そのページの答え、間違ってるよ。ヨーコさん、(a)に丸つけてるけど、正解は(c)だから。いちお教えとく」