東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
「えっ…」
「あたし、そんなにアタマいいほうじゃないけど、本場アメリカに7年いたから、英語だけには自信あるの」
「………」
あたしは振り向かない。だけどキクチ・ヨーコのくやしそうな顔が目に浮かぶようだった。
「学校帰りに塾行ったり、休み時間まで勉強してるくらいだから、もっと頭イイのかと思ったけど、なァ~んだ♪ たいしたことないじゃん♪」
「わ、分からないから勉強してるのよっ…」
顔なんて見なくても、彼女があきらかに取り乱しているのが分かる。
「もしロムと付き合ってくれるんなら、あたしが英語を教えてあげてもいいけど♪」
上から目線でそれだけ言うと、彼女の返事も聞かずに、ツカツカと歩きはじめるあたし。
“勝ったァ♪ I’m winner♪(アイム ウィナー♪)”
ココロの中で、そう叫んで、胸の前で小さくガッツポーズを取るあたし。