東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~

「えっ…」


「あたし、そんなにアタマいいほうじゃないけど、本場アメリカに7年いたから、英語だけには自信あるの」


「………」


あたしは振り向かない。だけどキクチ・ヨーコのくやしそうな顔が目に浮かぶようだった。


「学校帰りに塾行ったり、休み時間まで勉強してるくらいだから、もっと頭イイのかと思ったけど、なァ~んだ♪ たいしたことないじゃん♪」


「わ、分からないから勉強してるのよっ…」

顔なんて見なくても、彼女があきらかに取り乱しているのが分かる。


「もしロムと付き合ってくれるんなら、あたしが英語を教えてあげてもいいけど♪」


上から目線でそれだけ言うと、彼女の返事も聞かずに、ツカツカと歩きはじめるあたし。

“勝ったァ♪ I’m winner♪(アイム ウィナー♪)”

ココロの中で、そう叫んで、胸の前で小さくガッツポーズを取るあたし。
< 110 / 301 >

この作品をシェア

pagetop