東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~

自分の知らないところで、目に見えない相手から誹謗中傷されていたことが怖く、不気味で、気持ち悪くて、あたしの全身には鳥肌が立ってしまった。

「いったい誰がこんな根も葉もない噂を…」

「それは分からない。メールをバラまいた直後にプロフを退会してるみたいだから……。でもウチのクラスは“みんなのプロフ”やってるヒト多いみたいだし、かなりの人数がこのメールを読んだんじゃないかな……?」

「Unbelievable……(アンビリーバボー……) 誰か知らないけど、なんか言いたいことがあるなら、ネットじゃなくて、直接あたしに言えばいいのに……」

そのとき、あたしはハッとした。

あたしのことを恨んで、こーいう陰湿なことをする人間といえば、アイツ以外には思い浮かばない。



      ×      ×      ×



トイレの個室を飛び出して、教室に戻ると、あのオンナが、黒マフラーに黒手袋、黒ストッキングという全身黒づくめのスタイルで、ちょうど教室に入ってくるところだった。

「ちょっと、いいかげんにしなさいよ!」

胸倉をつかみそうな勢いで、キクチ・ヨーコに詰め寄るあたし。
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