東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
ヤッパ10代のヒトにとって“1年”っていう時間は大きいな、とあらためて実感した。

時の流れはヒトを成長させる。こないだ会ったときはまだ子供だったロムが、ちゃんとオトナになってるから不思議だ。

同い年なのに年下みたいで、弟みたいに可愛かったロムが、まさか女のカラダに興味を持つようになるなんてね。

いやぁ、あたしも年をとるわけだ♪


「ゴメン、ゴメン。お詫びってワケじゃねぇけど、これ見て機嫌直してくれよ」

そう言って、彼がジャケットのポケットから取り出したのは全長6センチくらいのこげ茶色の“物体”だった。

「なに…コレ…?」

その物体は細長く、滑らかに湾曲していて、その片側の先端だけがとがっている。カタチ的には“牛の角”みたいなカタチだけど、6センチじゃ小さいかな? じゃあ、子牛の角? いや、それにしても小っちゃすぎる。

「白亜紀の肉食恐竜の“歯”の化石だよ」

「え…これが恐竜の歯?」

「そうさ。中2ンとき、俺が見つけたんだ。コレ見てみろよ」

そう言って、今度はバッグから分厚い図鑑を取り出すと、見出しがはさんであるページをあたしに見せる彼。

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