東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
全身の筋肉が緩み、薄れゆく意識の中、少しの抵抗さえすることができずに、トイレの個室に尻モチをついてしまうあたし。

そして、あたしは気絶してしまった―――



      ×      ×      ×



それから、どれくらいの時間が経ったんだろう……



ビィーン、ビィーン…



まるでテーブルの板の上で、ケータイのバイブが振動したときみたいな低く響く音を聞いて、あたしは意識を取り戻した。



「…!?」



トイレの個室の壁にもたれかかるようにして、座りこむ体勢をとっていたあたしは、体になにか分からない違和感を感じた。

ヤケに体じゅうがスースーして肌寒い。

何げに自分で自分を抱くように、二の腕に手をやってハッと気づいた。上も下も、下着1枚の姿になっていたんだ。
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