東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
「ロム、約束やぶったねっ!」
「や、約束っ…!?」
「ソレ、ロムの名前ついてんじゃん! ぬけがけして自分だけ恐竜に名前つけるなんて、ありえないんですけどっ!!」
つねる指先にさらにチカラを込める。
「イタタタタタッ…そうだけど違うってっ」
「そうだけど違う、って意味分かんない!」
「も、もし自分の名前を付けたかったら“ヒロムサウルス”にするはずだろっ? それを名字のほうの“フルウチサウルス”にしたのはクリスの…お前のためさっ」
「えっ、あたしのため?」
つねっていた指先から思わずチカラが抜けてしまった。
「今はまだ“フルウチ”は俺の名前だけど、あと1年したら俺とお前の名前になる」
「俺とお前の名前…?」
言ってる意味が分からずにポカーンとしているあたしを…
“がしっ”
…と、いきなり抱き締めるロム。
「ちょ、ちょっとロム、なにするのっ…!?」