東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~

ま、ルックス的には合格点をあげてもいいかなァ~、なんて♪


「お客さま、お名前をお訊きしてよろしいでしょうか?」

受付の紙とペンを手に彼が訊いてくる。

「栗栖」

「くりす…様ですか?」

「そ」

「あの…字はどういう字を?」

「マロンの“栗”に、“木”を書いて“西”」

「え……栗に木を書いて西……?」

“栗栖”という漢字が頭の中でイメージできないのか、ちっともペンが動かない。

早く髪を切ってほしかったあたしは、ちょっとイラっとして…、

「…ってか、カタカナでいいよ、カタカナで」

…なんて思わず言ってしまう。


「も、申し訳ございません!」

店じゅうに響き渡るような大きな声、それに大袈裟なくらいに、あたしに向かって深々と頭を下げる彼。

このヒト、リアクション、デカすぎ!
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