東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
でも、なんかおもしろいかも~っ♪♪
「えっと……ク・リ・ス・様……っと」
受付の紙に、カタカナであたしの名前を書きながら彼が言う。
「クリスってさ、なんか外国人っぽい名前だよな?」
「よく言われる」
そして一度聞いたら忘れられない名前。
たとえ“栗栖”という漢字を頭でイメージできなくても、“クリス”という語感だけは、すでに彼の脳ミソに刻み込まれたはず。
…ってか、気が付けばタメぐち?
…と、そこへ―――
「アンドレ、どうしたのっ?」
奥のほうから、人相が変わりそうなほど強く髪の毛をポニーテールで後ろに引っ張った、ちょっと性格のキツそうな顔をした30代後半くらいの女の人が慌てて駆けつけてきた。
「あ、アンドレ…!?」
…って、このヒト、どう見ても100%純血の日本人にしか見えないんだけど……。