東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~

「もうないと思う……」

「え?」

「だって、あたし、もうすぐ死ぬから……」

「そーいう縁起でもない冗談は言わないほうがいいと思うな。ア…かゆいとこない?」

あたしはココロの中で…、

“冗談じゃ……ないのにな”

…ってつぶやいた―――――



      ×      ×      ×



しばらくして…、

シャンプーが終わった。

「じゃあ、ブローはまた別の人がするから、これで俺は…」

そう言って、どっかに行ってしまおうとする彼。

「イヤ」

「え?」

「あたし、ブローもあなたにしてもらいたい」

「だけど、別の担当の人がすることになってるから」
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