東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~

「すいませーんっ!!」

あたしは座ったまま店の奥のほうに向かって大声で叫んだ。

「ハーイ!」

すると奥から天才美容師“ブラックなんとか”が現れた。

「はい、なんでしょう」

「あたし、このヒトにブローをやってもらいたいんですけど、いいですよね?」

「あのぅ、彼は本来ブローの担当ではないので技術的にまだ未熟かと…」

心配顔で彼女が言ってるけど、あたしはそれをさえぎって言った。

「いいの! それでも、このヒトにブローしてもらいたいんです!」

一瞬の間のあと…、

「分かりました、お客様のご希望が第一ですから」

「あの、俺…」

「安堂くん、せっかくのご指名なんだから、しっかりやんなさい」

「はい、ボス」


早速、あたしの髪のブローにとりかかる彼。

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