東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
爪の先で小っちゃく皮膚をつねるあたしのツネツネは、クラスの女子の中でイチバン痛いというロムの折り紙付きだ。
「いてーよっ……なに、すんだよっ……」
「最後に食べようと思ってたイチゴ、横取りしないでよっ」
「そ、そーいうことかよ……やれやれ……俺はお前がイチゴ嫌いなのかと思って、気を利かせて喰ってやろうとしたんだぜ……」
「イチゴが嫌いだったら、イチゴショートなんて注文しないって!」
「わ、分かったから、もうつねるの辞めてくれよっ……なぁ、頼むっ……」
彼の瞳がオトナの男のヒトなのに、ちょっと涙目になっていた。
「分かればいいのよ、分かれば」
ツネツネ解除。
「…ったく怪力オンナ。見ろよ、お前がつねったとこ、こんなに赤くなってんじゃねぇかよ」
「はいはい、分かった分かった。それより行くよ」
そう言って、危うく横取りされそうになったイチゴをクチの中に放り込むと、あたしは急いで席を立った。
「待てよ」