東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
「なによっ……まだコーヒー残ってるのっ?」

イライラしまくりのあたし。

「じゃなくて…」

いきなりあたしの鼻の頭をチョンと人差し指でなでる彼。

「なにすんのよっ」

「鼻の頭に生クリームが付いてんぞ♪」

そう言って微笑むと、クリームが付いた人差し指をペロッと舐めるアシくん。


「…!?」


次の瞬間、カァーッと顔じゅうが熱くなるのを感じたあたしは、慌ててバッグの中からコンパクトを取り出した。

鏡の中のあたしはあまりの恥ずかしさに、まるで北国の田舎の子供みたいにほっぺたを真っ赤にしていたし、その赤い色と対照的なcontrast(コントラスト)で、純白の生クリームがクチの回りにもベッタリ付いていた。

「お前、コドモみたいだな♪」

そう言って微笑む彼。

だけど別にバカにして笑っているようなカンジじゃなくて、むしろ微笑ましい光景として、暖かいまなざしで見ていてくれているみたいなカンジだった。

< 227 / 301 >

この作品をシェア

pagetop