東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
      ×      ×      ×



PM9:18――

アシくんのなじみの焼き肉屋さんに行くために、あたしたちはJR渋谷駅にいた。

彼が売り場で二人ぶんのキップを買っているあいだに、あたしはマッキーのラジオのホームページにメールを送信した。


「ホラ、買ってきたぞ」

2枚のキップを手に、あたしのところに戻ってくる彼。

「いちおメール送っといたから」

あくまで“別にどーでもいいんけどどね…”ってnuance(ニュアンス)で彼に伝えた。

「えっ、もう!? 早ぇーなっ」

「女子高生のケータイ早打ちテクを甘くみないでちょーだい♪」

自慢げに満面の笑みを浮かべるあたし。

「さすがは女子高生♪ そんじゃ、ホームに急ぎますか」

「うん」


だけど、タイミング悪く目の前で“プシュ~”っと、山手線の扉が閉まってしまい、電車に出て行かれてしまう。
< 243 / 301 >

この作品をシェア

pagetop