東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
耳の先っちょまでアップルみたいに真っ赤になってるロム。
「ねぇ、ロム、どぅ、あたしのセーラー服姿?」
あたしはスカートの両端をつまんで上げて、チョンとヒザを曲げて、上流階級の女のヒトが舞踏会でするようなポーズをしてみせた。
「どぅ、って…」
「NYにいるときは私服で学校に通ってたから、ニッポンでみんな同じ制服を着せられるなんて個性がないと思ってたし、それにそもそもニッポンの女のコってなんでみんなそろって“navy(ネイビー=海軍)の制服”を着てるのかと思ってたけど、実際着てみたらコレ意外と可愛いじゃん♪ まぁ、スカートが長くてダサダサだったけど」
「お前、スカート短すぎじゃないか?」
不意に、帯刀先生がそう言いながら、あたしのほうに近づいてくる。あとで聞いたハナシだけど、彼は毎朝校門で風紀検査をしているらしい。
「ひざ上25センチですけど、生徒手帳には“何センチじゃないとダメ”とか別に書いてなかったですよ。ちゃんと確認済みです」
「お前な、ひざ上25センチだったら、普通におじぎしただけで、うしろのヤツにスカートの中身が丸見えじゃないか」
「でもスカートが短いほうが、足が長く見えてカッコイイじゃないですか」