東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
「学校の制服は、おしゃれ着じゃない。カッコよくなんてする必要はない。言い忘れたがシミーズもちゃんと着用しろ。ヘソも背中も丸見えだぞ」

にべもない冷たい言い方だった。

「でも、みんな同じカッコだったら個性がないじゃないですか」

「さっき古内も言っていたが、ココはニッポンだ。お前が今まで育ってきた自由の国・アメリカじゃない」

「でもっ…」

そう言い返そうとするのをさえぎって、先生がこう続けた。

「いいか、覚えとくんだ。ニッポンには昔から“郷に入っては郷に従え”という言葉があってな…」

先生がここまで言ったとき、今度はあたしが彼が言おうとするのをさえぎって言った。


「そんなの、知ってますっ。あたし、外国人じゃありませんからっ」


“先生もあたしのこと、外国から来た珍しい生き物だと思ってるワケ? unbelievable!?(アンビリーバボー!?)”

「知っているなら自分勝手なワガママを言うな」

「“ワガママ”って…自分の意見を主張してるだけです。それのどこが悪いんですか?」
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