東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~

「ふぅん…」

そーいえばチーコは昔から足が早かった。体が小さいぶん、空気抵抗が少ないのかな?


「じゃ、ユーは?」

“ユー”っていうのは、これまた幼稚園の頃からの幼なじみの近藤 勇のこと。

父親が“新撰組マニア”で子供が生まれたら「勇(イサミ)」にするって決めてたそうだ。でも当の彼女は男みたいなイサミって名前が大嫌いで、だから幼なじみたちはみんな彼女のことを「勇(ユー)」って呼んでた。

男子の中ではロムが一番だったけど、女子の中での一番なかよしは彼女で、ふたりでよく“アイ&ユー・コンビ”なんてふざけて言ってたりしたもんだ。

小っちゃい頃から父親に厳しく剣道を叩き込まれた彼女だけに、ひょっとして今は剣道部なのかな?

「ユーも部活?」

「さ…さぁ、もう帰ったんじゃない…?」

チーコの表情がちょっと曇った。

「じゃ…じゃあ、あたし、行くから…」

なんとなく、これ以上、あたしと話したくないみたいなカンジ。

「See You」

< 46 / 301 >

この作品をシェア

pagetop