東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
「なにソレ? さっきから“トイレのイサミさん”とか“イサミ菌”って、いったいなんのこと? 教えて? ねぇ、教えてよ」

コン、コン!

「いーから、アイは教室に戻んなよ」

「よくないよっ。もし、あたしの思ってるとおりだとしたら、今度はあたしがユーを助ける番だと思うしっ」


「あたしを…助ける…?」


その言い方が“信じられない…”というカンジに聞こえた。

「前にあたしの上履き隠した男子をコテンパンにやっつけてくれたじゃん」

「あんな昔のこと……まだ覚えててくれたんだ……」

「当ったり前じゃん。あのとき、あたし、すっごく嬉しかった。だから今度はあたしがあのときの“借り”を返すよ。あたし、友達同士で貸し借りなんてしたくないよ」


「友達……同士……?」


その言い方もまた“信じられない…”というカンジに聞こえた。

「そーだよ。だから、なんでも言って。あたし、ユーのチカラになりたい。あたしたち、小学生の頃、一番なかよしだったじゃん」
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